自己啓発セミナーやパーソナルビジネスコーチングで頑張る女性を応援します。また、企業様の女性活躍推進活動のご支援をしていきます。

「カンパニュラの森」 インタビュー Vol.3

「カンパニュラの森」では社会で活躍している女性、女性を応援する企業の方、研究者の方、さらに様々な分野の仕事人にインタビューを行い、これからの女性の働き方や活躍の方法を考えていきたいと思います。

第3回目は、積極的に女性を活用されている株式会社サトーの人事部長 金沢春康様CSR室の阿尾夫美子様にお話を伺いました。(http://www.sato.co.jp/

 株式会社サトー 人事部長
                               金沢 春康様          
  

―まず簡単に御社の事業内容について教えてください。

1940年に竹材加工機メーカーから出発しました。戦後は竹材を百貨店に納めていた関係で、流通業の様々なニーズを汲み取りながら、自動結束機を開発したり、値札を貼るためのハンドラベラーを発明して、その製造と販売によって発展しました。POS技術の発展とともにバーコードによる商品管理が主流になるとみた創業者佐藤陽が、バーコードプリンターの製造販売を始め、着実に業容を拡大してきました。それが今の事業の基礎となっています。現在はDCS(Data Collection Systems) & Labelingを当社のビジネスモデルとして掲げ、バーコード、2次元コード、RFIDなどの自動認識技術を用いてモノの情報を効率的かつ正確に収集するためのソリューションを提供しています。ラベルプリンター、サプライ製品、ソフトウエア、スキャナなどの製品を組み合わせて、現場データの一貫処理システムを構築し、お客様の業務の正確・省力・省資源化を実現しています。

―今年は創業70周年とお聞きしました。「社員が財産」とする御社の企業風土について教えてください。

まず、当社は社是として「あくなき創造」を掲げています。当社はその時々世の中で望まれている新しいモノを作って成長してきた経緯がありますので、「創造性」を特に重視しています。
そして企業風土を形づくるうえでベースとなっているのが、「全員参加による経営」の理念です。社員からの提案を日々経営に活かす仕組みができあがっています。これは当社独自の大変ユニークなナレッジマネジメントシステムで、「三行提報」と呼んでいます。社員全員が経営トップ宛に毎日三行で提案をしています。毎日ですよ。入社のときに三行提報を出すことを誓約してもらい、提出しない人は昇進・昇格できない決まりとなっています。したがって三行提報の提出率は99.9%です。こういう提案があったけれどもどうなっているのかと社長から聞かれることもあります。検討してすぐに対応すべきものもたくさんあり、各部署の課題発見と改善にも役立っています。また、この制度は会社を日々変革させているという当事者意識を醸成し、自由に意見を言う風土を育んでいると思います。

―社員の皆さんが何でも意見を言える雰囲気があり、それが改善の仕組みとしても確立されているのですね。

その通りです。人事方針についても、「社員が財産」という視点に立ち、人間性の尊重と多様性の受容を基本として、人材の確保・配置・育成・評価・処遇などの人事諸施策を進めることを明確にしています。また、「社員は良き者、善なる者として信頼する」ことも人事行動指針の中で謳っています。さらに、サトーの社員一人ひとりの行動指針として「サトーのこころ」という教育書があります。これは、当時の社長がそれまで受け継いできた「サトーの精神」に、自身の経営思想を加えて書き起こした社員への教育書で、我が社の社員にとっては大変に身近なものとなっています。

このような考え方を浸透させて、組織風土を育むための活動の一つとして、毎日朝礼を行い、社歌を歌ってサトーの経営基本方針を唱和します。そして「サトーのこころ」の中にある「仕事のやり方基本要綱」の条項を読み、それに関わるエピソードを話しています。最近は社歌を歌ったり、唱和をしたりという会社は少なくなっているかもしれませんが、会社のコアになる考え方を共有するという意味で、案外重要なことかもしれません。会社の方向性や意思が次第に見えてくることもあると思います。

―このように、全員参加の経営を実践し、お互いを認め合い、信頼しようとする理念を共有されている企業風土の中で、現在女性の執行役員が3名誕生し、積極的に女性の活躍推進をすすめていらっしゃるとお聞きしました。女性活躍を進めていくきっかけは何だったのでしょうか?

当社が女性社員の活躍推進に取り組み始めたのは、男性しかいなかった営業の分野に女性の営業第1期生の採用を始めた1993年に遡ります。商品のパッケージに貼るシールの担当営業に、女性の感性を活かしてもらおうと考えました。シール営業は、お客様の声をしっかり聞いて、デザイン企画から受注、印刷、納品までをフォローしなければなりません。この仕事は、お客様と当社のデザイン部門との間に立って、お客様が訴求したい製品のイメージを小さいシールの面積の中に表現する「デザイン企画力」と「マーケティング力」が欠かせません。そういった分野で女性の力を発揮してもらうことから始まりました。現在このシール営業として55名の女性営業職がいます。また、他の分野の営業職へも女性の活躍の場が広がっています。このように営業で活躍する女性社員が多くなってきますと、女性が働きつづける環境についての要望もいろいろとあがってくるようになってきました。そこで、2002年にポジティブアクション推進委員会を立ち上げ、女性活躍推進のためのしっかりとした枠組みを作っていこうということになったわけです。

―ポジティブアクション推進委員会で取り組まれた内容はどういったものだったのでしょうか?

メンバーは男性も含めて社内各部署から集め、女性活躍推進にかかわる施策の検討と提案を行ないました。育児休業は3歳の誕生日まで取得可能であったり、看護休暇は小学校4年生進級まで子の数に関係なく10日の有給休暇が取得できたり、介護休暇も対象家族数に関わらず同様に年10日の有給休暇が取得できる制度ができました。また、小学校4年生進級まで最大1日2時間の短時間勤務も選択できます。さらに、2009年度には、新たに「病児保育支援制度」を導入し、病児保育サービスを利用した際の実費を一定限度内で会社が負担することにしました。これら当社の各種制度は法定基準を大きく上回るものとなっています。
また、サトー独自のユニークな制度として、父親休暇というものがあります。これは、配偶者の出産時から産後8週間までの間に、お父さんも5日の有給休暇が取得できる制度です。

このような活動の成果として、2007年、2009年と基準適合一般事業主認定「くるみんマーク」を取得しています。もちろん現在も第3回行動計画を策定し、更なる取組みを続けています。また、厚生労働省より均等・両立推進企業表彰 均等推進企業部門で東京労働局長優良賞もいただきました(2007年)。

 

―それでは、現在の推進活動はどのようなことをなさっていますか?

ポジティブアクション推進委員会等で制度や施策の一応の枠組みは整いましたので、今度はしっかりそれを運用していこうということで、ワーク・ライフ・バランス推進委員会を2005年から始めています。
女性が働き続けることができる制度が整ったから、「さあ、休みを取れますから取ってください」と社員に言っても、「実際お客様が目の前にいて、仕事があるのに、どうやって休むの?」ということになってしまいます。当社はこれまで着実にビジネスの拡大を続けてきましたので、それぞれの職場は大変忙しい状況であることは間違いありません。これまでの働き方を見直し、女性社員が出産、子育てに専念したり、男性社員が子育てに主体的にかかわったりする時間を確保できるような意識変革への働きかけが、ますます必要な時期に来ていると思います。
企業の側から見ても、就業時間内での仕事力を向上させ、業務を効率化させることは競争力強化に直結する経営課題でもあります。このような観点からも、男性・女性関係なく仕事のやり方の見直しを掲げたワーク・ライフ・バランス推進に真剣に取り組んでいるところです。

―このように、ポジティブアクション推進委員会/ワーク・ライフ・バランス推進委員会を設置して積極的に女性活躍推進を図ってこられて、実際に社員さんの意識は何か変わりましたか?

5年前に比べて、育休後に復帰しやすい雰囲気は確実にできていると感じます。それぞれの職場で社員の復帰を受け入れてくれる空気ができてきました。また女性自身の就労意識も随分変わり、結婚したら会社を辞めて専業主婦という考え方がなくなってきているように思います。女性が働き続けていくうえでは、出産・育児の部分が一番大変なので、子育てをしながらどうやって仕事もできるかを制度面でしっかりサポートしていくことが重要です。実際に当社では女性の継続勤務は増えてきています。

―御社において、このように女性の活用が進んでいる、その理由は何なのでしょうか?

制度を整備するのと並行して、女性管理職の数値目標の設定を行ないました。2005年に公表した数値目標は、「2009年4月までに女性課長を20名以上にし、2010年までに2名以上の女性部長を誕生させる」というものでした。その当時女性の管理職は課長6名だけでしたので、かなり厳しい目標ではありましたが、2010年7月の時点で、女性執行役員が3名、部長2名、課長15名という結果を出すことができました。そしてこの7月に執行役員の職に就いた女性は30歳代です。
また、女性管理職の数値目標を設定し、実施していく中で見えてきた課題というのもありました。すべての女性が必ずしも上昇志向をもっているわけではありません。管理職に引き上げようと思っても本人はしたくないという人もいますし、女性管理職登用の数値目標があるからといって経験が少ないのにその上の役職に上がってしまうと、本人も周りも困るということもあります。そもそも候補者が少ないという問題点があるのです。今後さらに女性管理職を増やしていくためには、課長となる前の係長の裾野をいかに増やしていくかが課題といえます。

―女性管理職登用の数値目標を設定してその数を増やしてきたということですが、組織の中で抵抗感のようなものはありませんでしたか?

当社はこれまで順調に業績を伸ばしてきましたので、企業の成長と共に各社員の仕事も増えていく状況にあって、女性管理職の登用についても自然に受け止められたように思います。会社も仕事も伸びていくいいタイミングだったのだと思います。逆に、企業が成長しているということは、社員は忙しいということでもあり、ハードワークとワーク・ライフ・バランスの意識の矛盾をいかに乗り越えていくかが今後も大きな課題ともいえます。ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて、さらに腰を据えて取り組んでいく時期にきていると考えています。

―これからの女性に期待することは何かありますか?

女性に期待するという考え方ではなく、女性・男性も関係なくその人の能力を最大に発揮して活躍できる場を創りたい。そういう会社でありたいと思います。女性には出産など特別の事情もあるので、それについては、ひきつづき会社としてサポートしていく体制を整えていきたいと思います。

―今後のダイバーシティの取り組みについて可能な範囲で教えてください。

今後の人事面での取組みとしてグローバル人材の育成を目指しています。当社は海外20カ国に展開しており、事業のグローバル化は進んでいるのですが、そうはいってもやはり言葉の壁は大きい。そこで、昨年より日本語が得意な外国人を日本で採用してソフト面でのグローバル化を図っています。現在は管理部門・デザイン部門・営業部門あわせて21名の外国人が日本で正社員として働いています。これもダイバーシティ(多様性)を受容する土壌作りの一つと考えています。彼らと話していると全然違う価値観があることに気づかされたりします。各職場でもいい意味でプラスになっているようで、この施策は非常に効果があったと思っています。今後当社がさらに海外に向けて展開していくうえで、多様な価値観を認め合う意識をますます高めていくことは非常に大切なことと考えています。この数年の間にこの施策をさらに進めて、ソフト面でのグローバル化と多様性の文化をさらに広げていきたいと思っています。

―いろいろと貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

 

シール営業からCSR室へ異動された阿尾さん

「シール営業で鍛えられました。」(阿尾さん談)
(右)株式会社サトー CSR室
主任 阿尾 夫美子様

<インタビューを終えて>

株式会社サトー様は、変化を成長と捉え、次々に新しいものを生み出して発展してこられました。三行提報に代表される全員参加の経営、そして、改善すべきところは即座に改善していく経営の仕組みがその成長を支える重要なファクターであると思いました。また、会社の経営基本方針の解説から始まる「サトーのこころ」は、ひとりひとりが進むべき道筋が示されており、VISIONARY教育が徹底しています。このような組織で培われた風土の中では、男性・女性といった枠組みで捉えるのではなく、それぞれが最大限の能力を発揮して会社に貢献し、一生懸命取り組んでいく中で人として成長し、さらには社会に貢献していこうとする大いなる意思を感じました。もちろん、いろいろな課題は今後もあるのだろうと思いますが、女性活躍推進のテーマにおいて、これからも注目したい企業様です。

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